印刷の舞台裏「面付」
効率よく、無駄なく作る「面付け」
前回の記事では、印刷物の「もと」となる原紙についてご紹介しました。今回は、その大きな原紙が、皆さんの手元に届く様々な印刷物へと姿を変える「印刷の舞台裏」をお見せしたいと思います。
仕上がりサイズより大きな紙から、目的のサイズの印刷物をいかに効率よく、そして無駄なく作るか。それが印刷会社の腕の見せ所です!具体例を挙げながら、印刷の工夫を見ていきたいと思います。
※以下ではプリントマンで使っている、小ロット対応のオンデマンド機で印刷する場合でご紹介します。
※塗り足しについては、以下の記事でも説明しているのでチェックしてみてくださいね。
実際の印刷物で見てみよう
まず初めに、印刷会社では、大きな紙に目的のサイズの印刷物を複数配置して一度に印刷します。この配置のことを「面付け」と呼び、いかに多くの面数を取れるかが効率化の鍵となります。
例1:A列本判4切サイズのコート紙から、チケットは何枚取れる?
イベントで見かけるチケットの小サイズ(仕上がりサイズ:50mm × 85mm)を例に考えてみましょう。
紙はA列本判4切サイズ(440㎜×313㎜)のコート紙90㎏を使用します。
まずは以下の様に計算します。
塗り足しの有無 | 1枚あたりの必要スペース | 紙の横方向に入る面数 (440mm ÷ 必要横サイズ) | 紙の縦方向に入る面数 (313mm ÷ 必要縦サイズ) 合計 | 合計面数 |
---|---|---|---|---|
塗り足しなし | 縦50mm × 横85mm | 440mm ÷ 85mm = 5面 | 313mm ÷ 50mm = 6面 | 30面 |
塗り足しあり | 縦56mm(50+3+3)× 横91mm(85+3+3) | 440mm ÷ 91mm = 4面 | 313mm ÷ 56mm = 5面 | 20面 |
この計算を元に、実際に面付してみましょう。
塗り足しのいらない「フチあり印刷」
■仕上がりサイズ 50㎜×85㎜
■面付 440㎜×313㎜の用紙に30面付
塗り足しありの「フチなし印刷」
■仕上がりサイズ 50㎜×85㎜
■440㎜×313㎜の用紙に20面付
先に計算した様に、面付数が変わってきますね。
フチあり印刷の様に、四方に塗り足しがない場合は30面取れますが、フチなし印刷の場合は、塗り足しの領域があるので、20面になります。
例2:菊判4切サイズの上質紙180kgから、DMはがきは何枚取れる?
次に、ダイレクトメールなどでよく届くDMはがき(仕上がりサイズ:100mm × 148mm)です。
使用する紙は菊判4切サイズ(ヨコ468mm × タテ315mm)の上質紙180kgを使用します。
以下の様に計算します。
塗り足しの有無 | 1枚あたりの必要スペース | 紙の横方向に入る面数 (468mm ÷ 必要横サイズ) | 紙の縦方向に入る面数 (315mm ÷ 必要縦サイズ) | 合計面数 |
---|---|---|---|---|
塗り足しなし | ヨコ100mm × タテ148mm | 468mm ÷ 100mm = 4面 | 315mm ÷ 148mm = 2面 | 8面 |
塗り足しあり | ヨコ106mm(100+3+3)× タテ154mm(148+3+3) | 468mm ÷ 106mm = 4面 | 315mm ÷ 154mm = 2面 | 8面 |
この計算を元に、実際に面付してみましょう。
塗り足しのいらない「フチあり印刷」
■仕上がりサイズ 100㎜×148㎜
■面付 468㎜×315㎜の用紙に8面付
塗り足しありの「フチなし印刷」
■仕上がりサイズ 100㎜×148㎜
■面付 468㎜×315㎜の用紙に8面付
先に計算した様に、
DMはがきは、フチあり印刷、フチなし印刷共に8面取れました。
例1と例2でそれぞれ、面付結果が変わったように、
入稿データのレイアウトとサイズと印刷する紙のサイズによって面付数が変わります。
さらに折り加工も施すとなれば、紙の目の向きにも注意して面付をしなければなりません。
面付して印刷したら、化粧断裁で仕上げ!
「フチあり印刷」は、
用紙の四方の余白部分をカットして、等分に断裁する。
「フチなし印刷」は、
色が塗り足された上をカットすることで、端まで色が乗った仕上がりになります。
下の画像の様に、青い線の上をトンボに沿ってカットして仕上げます。
– 品質を支える印刷の工夫 –
このように、印刷会社では仕上がりサイズだけでなく、塗り足しといった印刷工程に必要な要素を考慮して、大きな原紙をいかに効率よく断裁・配置して印刷するかを常に考えています。一見すると塗り足しによって印刷できる枚数が減るように見えますが、これは最終的な印刷物の品質を保証し、お客様に満足いただくための重要な工程なのです。
今回のブログ記事を通して、普段何気なく手にしている印刷物の裏側にある、ちょっとした工夫や技術に興味を持っていただけたら嬉しいです。
印刷に関するご相談やご質問がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!
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